玉は琢磨によって照車の器と成る

旧年中はお世話になりました。本年も宜しくお願い申し上げます。本年もコロナ禍により大変な世の中ですが、少しでも明るく良い方向に向かいます事を心より祈念致します。

一年の始まりは昨年を省みて、今年に活かすことが出来るように思いを新たにする大切な機会でもあるかと存じます。コロナにより人と離れ、距離を保つ時間が増え、以前よりも自分を見つめ直す、自分と向き合う機会が増えた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

玉は琢磨によって照車の器と成り、人は切磋を待って、穿犀(せんさい)の才を致す。「三教指帰」弘法大師

玉は磨くことによって輝きを増し、前後十二台の車を照らすほどに立派な宝石となり、人はその才能を鍛えることによって、極めて硬い犀(さい)の革をも貫くほどの鋭敏なる俊才となる。

ダイヤモンドの原石も磨かなければ、綺麗に光ることはありません。自らの心の中にある宝を磨く事で、光輝く素晴らしい新たな自分に出会えると良いですね。誰しも変貌を遂げることが出来る励ましの言葉でもあるかと思います。「雨垂れ石を穿つ」ということわざがあるように日々の小さな積み重ねの努力がやがて大きな良い結果を生むことがあります。

そして、

「物の興廃は必ず人による。人の昇沈は定んで道にあり」

というお言葉を弘法大師さまが遺されているように、自らの心がけが大切ですので、自分を高められるようにあらためて精進を重ねて参りたいと思います。

合掌

船橋市 真言宗 石動山 明王院