お盆について

不安な日々をお過ごしのことと存じますが、季節の遷り変りは早く、夏の訪れとともに今年もお盆が廻って参ります。

お盆は正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)といいまして、インドの古い言葉であります「ウランバナ」が由来です。盂蘭盆会はご先祖様や亡き人の御霊をお迎えして、報恩感謝の真心を捧げその魂をご供養する大切な行事です。わが国においては、その歴史は古く斉明天皇の時代657年に盂蘭盆会が行われていました。お盆の由来については仏説盂蘭盆経には次のように説かれています。

お釈迦さまの十大弟子の一人に、長い修行の結果不可思議な神通力を得た目連(もくれん)尊者がおられました。その目連尊者がある時、亡き母をその神通力で探してみると、驚いたことに母が餓鬼の世界に堕ちていることを知ります。餓鬼の世界とは、どんなにおなかが空き、喉が渇いても、食べることも飲むこともできない、飢えと渇きの苦しみの世界です。そのことに大変悲しんだ目連尊者は何とか母を救う為に目連尊者の母に、食べ物や水を口もとに運ぶと、それはたちまち炎となって燃え上がり、炭となって口にすることが出来ません。

悲嘆に暮れた目連尊者は、何とかして母を救うことは出来ないものかとお釈迦さまに教えを請いました。するとお釈迦さまは説かれました。「汝の母は、生前の物惜しみをし続けた悪業の為に餓鬼の世界に堕ちたのである。罪根深結、汝ひとりの力では救い難し。」悪果から救うために、7月15日の夏安居(げあんご=雨期の間に一定期間こもる修行)を終える日に、修行僧たちに百味の施食供養(せじきくよう)をし、そのようにして積んだ功徳を七世の父母及び現在の父母、餓鬼道で苦しんでいる者のために廻向(えこう=功徳を廻らし向ける)しなさい」と。そこで、目連尊者がその教えにしたがって供養すると、母親は餓鬼の苦しみから速やかに救われ、天に往生したのでした。

この経典の教えが根本となりやがて、故人様やご先祖さまに対する感謝、そして追善供養の気持ちへとつながりまして、皆様が親しみ深い今日の国民的仏教行事であるお盆となりました。

普段忙しい中でもお盆を縁として自らのルーツであるご先祖様や親に育てていただいた御恩、故人様から頂いたご恩ご縁に感謝してご冥福をお祈り致しましょう。
合掌

船橋市 真言宗 石動山 明王院

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